坂の上の雲を読んだ。
初めて、歴史を読んだ気がする。
司馬遼太郎の、日露戦争を描いた物語。
秋山好古、秋山真之、正岡子規という三人の人物を中心に、維新後の明治という時代背景を描写しつつ、日露戦争というものを語っている。
物語とは言うが、筆者があとがきでも書いているように、史実を中心に書かれている。
正直、この本をフィクションと見るかノンフィクションと見るか、分けがたいものがある。
しかし、その中に散りばめられた筆者が調べた事実は、自分の中に突き刺さった。
日露戦争。
1904年。
これが、私の日露戦争の全情報だった。
学生の頃に歴史の授業で聞いたこと。
発生年も今調べて書けたことだ。
そして、その事に何の興味も無かった。
日露戦争。
今回、この一項目に、いかに多くの物事が関係してくるかを知った。
維新後の明治と言う、国家が萌え上がる様な勢いを持っていた時代。
世界の中で、いかに日本が小さいかを自覚し、そして大きくなろうとしていた時代。
若者が、この日本を背負っていくという意識を持って勉強し、留学し、切磋琢磨した時代。
あまり意味の無い仮定ではあるが、自分がこの時代に生きていたら、どれだけの事が出来ただろうかと思う。
日本と言う、世界の末席にやっと座れた若造が、ロシアと言う、世界の超大国に、いかに挑み、いかに負けなかったかを知った。
その内容は、実に薄氷の上に身を載せるもので、多くの努力と多くの幸運の上に成り立つものだった。
それでも、日本の得たものは良かったのか悪かったのかは分からない。
しかし、この戦争がまたその後の世界情勢に多くの影響を与えたことも知った。
これが、歴史を知る、事だと思った。
本編を読んでいて、分からなかったことがあった。
坂の上の雲のタイトルをつけた理由。
正岡子規が登場する理由。
これが分からず、少々不満があった。
しかし、あとがきにこれらの理由が書いてあり、納得した。
まさに司馬遼太郎ならではの理由であった。
この本を読もうを決めたのは、知人からの勧めだった。
当初、その話を聞いたときも、特に読もうと言う気にはならなかった。
以前から歴史物には興味が無かったし、特に惹かれるものもなかった。
しかし、その後に全く別の知人からも勧められ、更に3人目からも勧められるに至って、ついに手にした。
今はこの3人に感謝の気持ちを表したい。