空中衝突事故について

三重県桑野市で軽飛行機とヘリコプターの空中衝突があったという。
詳細は、事項調査委員会が明らかにするのを待つとして、一人の自家用操縦士としてこの空中衝突について考えてみたい。

この結果に至った原因に、
1.他機を見ていなかった。
2.見ていたが、距離を取ろうとしなかった。
という事が少なからずあると思う。

航空法71条の2により、操縦者には見張りの義務が課せられている。
事故防止のために当然の事である。
確かに、見張りをしていない瞬間は存在する。
計器を確認する、無線の操作をする、地図を見る、etc。
しかし、これらは操縦者にとってルーチンのワークであり、「この動作の後にはまた外を見る(=見張りをする)」意識が身についている。
また、近くに他の機体がいると言うことは、自然と「目を外に向けよう」という意識が高まる。
知人という存在は、それを阻害してしまうのである。
操縦者も人の子で、知り合いがいれば話もするし、気にもする。
当然ながら、普段能力の100%を操縦に向けていても、このような時は完全ではない。
こういう時こそ、操縦に対して真摯に取り組まなくてはいけない。

また航空法187条にあるように、航空機間の距離は衝突の恐れが無いように間隔を維持する様にも決められている。
具体的な距離は決められていない。
グライダーとジャンボジェットで、同じスケールで測れるはずが無いから、当然ではある。

しかし、他機が存在しているのを知りながら、回避行動を取らない場合がある。
相手が知人の場合というのも、その一つになる。
「あいつが操縦してるなら、近づいて見よう」と、つい考えてしまう。
自分自身、どちらの状況も近いことを体験している。
幸いにして事故には至っていないが、その経験を元に「二度とこんなことはしない」と誓ったのも事実だ。
自分が知人を余りグライダーに体験搭乗させないのも、これに起因している。

自分はまだグライダーを操縦していくだろうが、より安全運行に注意を払いたいと思う。

末筆ながら、亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。

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