黄色い目の魚

本屋さんが一番売りたい本1位になった「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子の、作品。
とても薄い水彩画の上を、優しく通り過ぎるような風を感じる。

「一瞬の風になれ」は読みたいと思っていた。
しかしまだ単行本のみの販売で、文庫本にはなっていない。
昔から本の素晴らしさの価値にお金を払うのはやぶさかではないが、単行本だと高くて文庫本だと安いというのが納得いってない。
なので、単行本を買うのは極力避けてきた。
今回、「黄色い目の魚」を買ったのも、単行本である「一瞬の風になれ」は読みたくないものの、佐藤多佳子の作品は読んでみたくて、たまたま手にした文庫本がそれだったから、という適当な選択。

良い。
登場人物の、悩み、疑問、不覚、考え、思考が、実に「気持ちよく」「爽快に」描かれている。
「やわらかい目」、「冬の朝みたいな笑顔」等など、その描写にとても穏やかな空気を感じる。
この雰囲気は村山由佳に似ているが、それよりも母性的だ。
この空気に、また包まれてみたい。

「一瞬の風になれ」を読むのは、必至となった。

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