以前にも紹介した、池波正太郎「剣客商売」。
自分が今読んでいるのが10巻目になるのだが、これがまだまだ面白い。
特に今読んでいる「剣客商売 春の嵐」は、初の長編。
九巻までは全て短編だったのに対し、本巻は一冊(七章)まとめての長編になる。
それでいて、短編と同じテンポの良さを残しつつ、長編だからこその奥行きの深さを見せつけてくれる。
この点、宮部みゆきが長編には最高の没入具合を示してくれるのに、短編になると突然普通の作家になってしまうのとは、大きな違いだ。
恩義を忘れぬ者の「これぞ虚仮の一念、、、」とはかくたるものと再認する。
「男泣きに泣く、、、」とはこういう物だと感じさせられる。
上に立つ者の「信じて動こうとせぬ、、、」つらさに胸を打つ。
時代劇だからと馬鹿にするものは、人生に置いて重要なものを欠落することになる。
必読!